~時系列に何があったかだけを知りたい方は、一番下のEvent History"にまとめてあるのでそちらをご参照ください。~
家族5人で渡米してから4年弱。ようやくグリーンカードが届きました。
長いプロセス中、皆さんのブログの経験談に助けられ、励まされたものです。なので自分も今後のみなさんに少しでも役立つのであればと思い、記録を残しておこうと思います。僕のケースではL1-BビザからEB-2カテゴリでグリーンカードを申請したので、それに基づく体験談になります。
ちなみにこの投稿をしている時点(2021年4月)で、実は長男のグリーンカードはまだ届いてません。
3年9か月
まずこちらがプロセスの最初から最後まで図にしたものです。全体感とそれぞれにかかった時間が分かりやすいのではないかと思います。ハートマークがグリーンカードが届いた日でPERMの準備に着手してから3年9か月でした。その下にいくつかある棒線は未だ続く長男の分のプロセスを表しています。
僕の場合はEB-2カテゴリでの申請だったため、プロセスは大きくPERM, I-140, I-485の3つに分けられます。準備の時間も含めると、それぞれ以下のような時間を要しました。僕の場合は、PERMが鬼門でした。
- PERM: 3年2か月: Labor Certificationを得るためのプロセス
- I-140: 3か月: Employerを審査するプロセス
- I-485: 6か月半: 申請者個人を審査するプロセス
申請カテゴリとプロセス
グリーンカード申請の要件にはいくつかのカテゴリがありカテゴリによりプロセスや必要なFormが異なります。僕の場合はEB-2カテゴリでの申請だったため、I-140とI-485の申請をする前に、PERMと呼ばれるプロセスを経る必要がありました。I-140とI-485はUSCISが管轄で、PERMはDepartment of Laber(DOL)が管轄となってます。 それにしてもUSCISとDOLのサイトを見るだけでプロセス全体を理解するのは不可能と今回この記事を書いていて改めて思いました。
例えばEB-2のプロセスについてはこちらに説明があります。
この”Eligibility”のところに"You will need a labor certification and must meet basic criteria depending on your category."と書いてありますが、これがI-140, I485の前にlabor certificationを取得してね、ということで、そのためのプロセスがPERMと呼ばれるものです。
会社のサポート
僕の場合は米国企業の日本法人から米国法人転籍に伴い渡米したのですが、日本では駐在員ビザなどと呼ばれることもあるL1Bビザでの入国でした。ちなみに会社にいわゆる駐在という制度は無く、単に米国法人の現地のポジションに採用された(いわゆる現地採用?)という扱いなので、日本法人に戻る場所が用意されていることはなく、クビやポジションクローズなどの場合はその後の行先は自分で見つけるしかない身分です。
僕の所属する会社では、ビザで米国に移ったのち速やかに会社のサポートのもと、グリーンカード申請の手続きに着手するというのが基本となっていて、本社にビザ専門のチームがいて手厚くサポートしてくれるという恵まれた環境にありました。
PERM - Labor Certification
- PERMプロセス
EB-2での申請の場合は、I-140の申請時にPermanent Labor Certificationと呼ばれるものを一緒に提出する必要があり、これはDOLにETA Form 9089というフォームをFileして発行してもらいます。このForm 9089のFile時に必要なのがLabor Market Testの結果とPrevailing Wageとなります。このPermanent Labor CertificationをDOLに出してもらうための一連のプログラムがPERMと呼ばれています。Permanent Labor Certification | U.S. Department of Labor (dol.gov)
- Labor Certification
このLabor Certificationが必要とされる主旨は米国市民や永住権保持者の雇用を守ることのようで、米国市民や永住権保持者の中からポジションの要件に見合う能力を持つ人が見つからないので、この人を長期的に雇うためにグリーンカードが必要である、ということを証明するためのものと理解してます。
- Labor Market Test
要件に見合う能力を持つ人が米国市民や永住権保持者にはいないということを証明するために行うのがLabor Market Testです。自分のポジションのJob Descriptionを元に弁護士事務所が実際に広告を一定期間出して採用活動を行い、本当に要件に見合う応募が無いことを確認するのですが、このTestには2-3か月かかるようです。必要な情報を弁護士事務所に渡して、あとは待つだけでした。僕の場合は、実際そこまで専門性を要するロールでもなかったことから、1回目と2回目のTestではそれなりの応募があったようで失敗に終わりました。3回目のチャレンジでようやくTestをパスしたわけですが、実際に2人の応募者と面接をしたと後にマネージャから聞きました。ちなみに3回ともJob Descriptionの内容は同じだったので、3回目にパスしたのは、ただただラッキーだったとしか言いようがありません。
ちなみに、Job Descriptionの要件をいかに難しいものにするかがカギになるわけですが、「日本語もビジネスレベルであること」、と入れることを弁護士事務所に相談したら、DOLからAuditが入り、却下や遅延につながる可能性があるので薦めないと言われ、やめておきました。
- EVL (Employment Verification Letter)
Labor Market Testの最中に、自分の過去の経歴を保証するための資料としてEVLを準備したので、日本法人時代の最後のマネージャにサインしてもらって出せと弁護士事務所に言われました。EVLには、自分の業務経歴がそこそこ細かくまとめてくれてました。マネージャは既に転職していたのですがメールで連絡してサインしてもらい、スキャンして送り返していただきました。 ところが、すでに当該会社に所属してない人物によるサインだと不十分なので、Second Evidenceとして日本法人のHRに会社のレターヘッド付きで経歴確認のレターも出すように言われて手配しました。幸い全体のプロセスのボトルネックにはなりませんでしたが、このやりとりに1か月半かかりました。
- 社内の順番待ち
さらに僕の場合は、PERMの準備に着手した直後に、当時就任したばかりのトランプ大統領が出したExecutive Order(テロ対策としてイスラム教徒が多数を占める7カ国の人の入国を禁止する大統領令)により影響を受けた社員を優先的に対応するため、僕はLabor Market Testを含めたプロセスを待つように社内の担当部署から言われてしまいました。こればっかりは仕方がなく、結局一年近くTestができない状態が続きました。
- ETA Form 9089
Labor Market Testを終えて、Prevailing Wage(これについては弁護士事務所がDOLと裏でやってくれたので詳しく分かりません)が決まるとようやくForm 9089をDOLに提出してLabor Certificationを出してもらいます。
- PERMプロセスまとめ
2017/2/27 PERM準備着手
2018/1~2018/5/7 1回目のLaber Market Test(失敗に終わる)
2018/8/1~2019/2/19 2回目のLaber Market Test(失敗に終わる)
2019/6/7~2019/11 3回目のLaber Market Test
2019/12/3 ETA Form 9089 をDOLにファイル
2020/4/23 DOLによりLabor Certificationが承認された
最初にPERMの準備に着手してからETA Form9089のサインが終わるまで約3年2か月かかりました。専門性の高いロールであればTestも一回で済ませられるのでしょうが、それでも準備に1か月、Testに3か月、ETA Form 9089の承認に5か月程度かかると考えると順調にいっても9か月かかるプロセスです。
I-140, Immigrant Petition for Alien Workers
PERMで無事Labor Certificationが得られたら次はI-140の申請です。I-140はとグリーンカードをサポートする会社自体を審査するものです。I-140のForm準備に必要な情報を弁護士事務所に渡したら、あとは全て弁護士事務所とUSCISの間でやりとりが行われました。
- Priority Date (これはたぶん通常日本生まれの人は気にしなくても良い話なので興味なければ読み飛ばしてください)
グリーンカードの申請カテゴリによってはいつでもI-140をFileできるわけではなく、USCISのルールに従って決まるPriority Dateというのを各申請者は持ち、それに基づいて申請できるタイミングが決められます。ただ、EB-2などの雇用による申請カテゴリを使う日本生まれの人は常に申請できると思ってよいと思われます。EB-2で申請の場合は、ETA Form 9089 のFileがUSCISに受理された日がPriority Dateになります。USCISのVisa Bulletinで自分が申請可能か否かを確認できます。
Employment-based の2ndがEB-2で、日本生まれの人はAll Chargeability Areas Except Those Listed で、"C" となっているのはCurrent、つまりPriority DateがCurrentということなのでI-140をFileできますよ、という意味らしいです。これを見ると、インド生まれの人はPriority Dateが2011年5月15日以前の人しかI-140をFileできないということになり、10年近く待っている人がいるということなんですね。
- Premium Processing
お金を払うとI-140 申請の結果を15日以内に出してくれる、というものです。僕はPremium Processingを利用させていただきましたが、10日で結果が出ました。How Do I Request Premium Processing? | USCIS
- I-140のまとめ
2020/4/24 申請に必要な情報を弁護士事務所に渡した。
2020/4/25-7/6 弁護士事務所が書類を準備しUSCISにFileした。
2020/7/17 Case was approved, I-140が承認されたという連絡が会社に入った。
弁護士事務所の書類準備に2カ月かかってるけど、まぁ、こちらは待つしかないので。でもPremium Processingはさすが、10日で結果が出ました。
I-485, Adjustment of Status
最後にI-485ですが、これはグリーンカードを申請する人を審査するもので、家族それぞれFileします。原則既に何等かのVisaで米国に滞在している人が対象で、そのVisaステータスをグリーンカードに切り替えるということからAdjustment of Status(AOS)と呼ぶようです。I-140の次と言いつつ、実際は並行して申請可能みたいで、I-140とほぼ同時に準備を始め、申請もほぼ同時期になりました。I-765, I-131も同時に申請しました。
- Birth Certificate(I-485 File時)
I-485のFile時の必要書類にBirth Certificateがあるのですが、各国政府が発行する書類の具体的にどれなのかは、うちの会社が言うにはこのサイトに書いてある、ということでした。これによると手元にあった全部事項証明書で良さそうだったので、2018年6月(I-485 File時より約2年前)に取得したものでしたが、それを使いました。古くていいのかよくわかりませんでしたが、USCISから突っ込みは入りませんでした。
英語でない場合は翻訳が必要とのことでここに書いてる要件によればプロに頼む必要も無さそうだったので、自分で翻訳し、翻訳者レターを作成して同僚にサインしてもらって、全部事項証明書のコピー、翻訳したもの、サイン済翻訳者レターの3点を提出しました。
ちなみに僕は生まれがカナダなのですが、手元に持ってた簡易的なBirth Certificate ではだめみたいなので弁護士事務所に相談したら、とりあえず家族同様全部事項証明書で出してみて、RFEがきたら対応するようお奨めされました。 USCISの目は節穴ではなく後でしっかりRFE来ましたがその時の対応は下に書いときました。
あと僕の翻訳と翻訳者レターを元に作ったテンプレートをここに置いときます。結果を保証するものではございませんのであくまでご参考まで。
- I-485, I-765, I-131, G-28
I-485をFileする時、I-765, I-131, G-28のFormも一緒に出しました。I-485提出後グリーンカードが承認されるまでは米国外に出ると申請を放棄したとみなされるらしいのですが、I-131を申請してAdvance Parole(AP)という再入国許可書をもらっておくと放棄したとみなされず再入国ができるらしい。I-765はEmployment Authorization Document(EAD)という労働許可証の申請で、これがあればビザが切れても労働が可能になるので、ビザが切れることを恐れることなくグリーンカードを待つ生活を続けることができます。G-28は委任状みたいなものです。ちなみに、僕がI-485をFileする時、直前になって弁護士事務所から法改正によってI-944も出す必要があると言われて出しました。これは一定以上の財産を持っていることを宣言する(生活保護のようなベネフィットを必要としないと確認する)もののようです。I-944は既に必要無くなってるかも知れません。
EADとAPはコンボカードという一体型のカードが届きます。ぱっと見ただのEADカードと同じに見えます。
- Bio Appointment
USCISから送られてくるレターに指定された日時にUSCISに出頭し、顔写真と指紋をとられます。Covid-19の混乱で郵便が滞っていて、レターが届くのに一カ月以上かかり、レターを受け取った時には指定された日から既に2週間過ぎていました。焦りました。日時の変更はUSCISと手紙でのやり取りになるためどんだけ時間がかかるか想像するとゾッとしたのを覚えてます。弁護士事務所に相談したら、とりあえずUSCISにWalk-inしてみることを勧められ、ダメ元で行って事情を説明したら、なんとその場で対応してもらえました。実は家族から一人遅れている息子のBio Appointmentのレターを2021年2月に受け取ったので、試しに指定の日よりも前に行ってみました。ところがガラガラだったにも関わらず対応してもらえませんでした。対応する人のさじ加減のような気がしました。
- SSN Card
子供たちのSSN Cardが送られてきました。僕と妻は既に持っていました。I-765にSSN Cardを同時に作るかチェックする欄があり、USCISからSocial Security Administrationに連絡が行き、別途申請することなく発行されるみたいですね。これでTax Returnの時子供一人あたり$2,000を所得控除できるようになります。ちなみに、一人遅れている息子の時は、I-765承認後3か月以上たってもSS Cardが届かず、Social Security Administrationに電話したら、おそらくUSCISが連絡を忘れいているだろうから、別途SS Cardの申請をしてくれ、と言われ申請しました。
- RFE
I-485をFile後3か月ほどしたころにRequest for Evidence(RFE) が送られてきました。家族全員のI-693(健康診断書)と僕のBirth Certificateの提出を求められました。Evidenceを提出するまでの間はプロセスが止まるので、できるだけ早くEvidenceを返送できるように頑張りました。
- I-693(RFE)
I-693(健康診断書)は、指定医にて問診・採血などをして、足りない予防接種があるかなどを確認します。足りない予防接種はすぐに薬局などで受けてEvidenceを指定医に渡します。I-693は問診後、準備に数日かかり、完成後連絡をもらい受け取りに行きました。受け取りの際は、一人ひとりの内容をすべて一緒に確認し、それを封筒に入れてその場で封印されました。コピーは別にもらえました。封印されたI-693は、そのままUSCISに送りました。
2020/9/5 指定医に電話で予約をした。
2020/9/16 指定医を訪問、問診・採血。その後帰り道にCVSで予防接種を受けた。
2020/9/22 指定医を訪問し、I-693を受け取った。
- Birth Certificate(RFE)
僕は生まれがカナダなのですが、I-485申請の際注意書きにカナダ生まれはカナダ政府の正式なBirth Certificateが必要と書いてあったのは分かっていたのですが、持っていなかったため家族と同様戸籍抄本で提出してました。が、やはりRFEでカナダ政府発行のBirth Certificateをしっかり要求されてしまいました。
生まれたカナダOntario州のサイトを見ると僕が必要とするものはOnline申請に対応していないと分かり、また郵送での申請の場合、Guaranterという一定の職業に就くカナダ人の保証人が必要だったり、申請後手元に届くまで数か月かかる可能性があるなど、かなりハードルが高いことが分かりました。直接オフィスに行けばその場で出してもらえるのですが、コロナ禍真っただ中で旅行などできる状況でもなく、困りました。
Ontario州に電話をかけて相談してみると、そもそも僕が必要なのはBirth CertificateではなくCertified Copy of Birth Registrationと分かり、さらに急いでいることを伝えると、何とかUrgent扱いでできると思うから指定の番号にFAXするよう言ってくれ、言われたとおりに書類を用意してFAXを出しました。親切で融通をきかせてくれて助かりました。Guaranterについてはカナダ人ではなくても大丈夫ということで、シアトルで歯科医をしている友人にお願いしてレターを書いてもらいました。
2020/9/9 オンタリオ州にFAXでCertified Copy of Birth Registrationの発行を依頼した。
2020/9/26 Certified Copy of Birth Registrationを受け取った
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